お薬について

ニキビ治療薬について

ニキビは、思春期から青年期にかけて多い皮膚疾患であり、皮脂分泌の多い顔面、胸部、背中などに多く見られます。症状として感じられない軽度の毛穴のつまりから始まり、毛穴の状態が悪化して起こる「白ニキビ、黒ニキビ」、アクネ菌が増殖して炎症が起きている「赤ニキビ」、炎症が悪化して膿が溜まった「黄ニキビ」へと進行していきます。それぞれの病態に対して効果的な薬が異なりますので、悪化してニキビ跡になる前に、早めに受診して最適な薬を処方してもらいましょう。特に、赤ニキビが長く続くとニキビ自体が治った後も赤みや色素沈着が長期間残ってしまったり、黄ニキビは凹んだニキビ跡になりやすいため、きれいに治すためにはできるだけ早く炎症を抑え、毛穴のつまりを取る薬で肌のいい状態を保つことが重要です。皮膚を清潔に保つことは大事ですが、過度の洗顔はニキビをかえって悪化させてしまう場合もありますので注意しましょう。洗顔回数は1日2回を目安にしてください。また、肌が荒れている時には、化粧品などの使用も皮膚への刺激になることがありますので、医師に相談して使用することが悪化を避ける上で重要です。化粧品などのニキビへの影響が気になる場合は、ノンコメドジェニックの表示があるものを選ぶようにしましょう。

使用される薬

アダパレン(ディフェリンゲル®)

毛穴のつまりを取る薬で、初期ニキビの治療および炎症が落ち着いた状態を維持するために使用されます。使用初期に赤みや皮膚のヒリヒリ感などの刺激を感じることがありますが、継続して使用していると刺激に肌が慣れてくることが多いです。皮膚の刺激を抑えるために、保湿剤が一緒に処方されますので、洗顔後に先にしっかりと保湿をしてから使用してください。最初はニキビの症状がある部分のみに使用し、異常を感じなければ少しずつ塗る範囲を広げていくようにします。炎症のある赤ニキビの周囲には、毛穴のつまりがあるニキビ予備軍が潜んでいますので、赤いニキビの周囲や今までにニキビができたことがある部分に広く塗ると効果的です。ただし、かぶれがひどくなったり、ジュクジュクした感じになるような時は薬が合っていない場合もありますので、一旦使用を中止して医師にご相談ください。妊娠中および授乳中には使用できない薬です。塗った状態で紫外線を浴びるとかぶれることがあるため、使用は夜のみとし、日中は塗らないようにしてください。さらに使用中は、外出時は日焼け止めを塗ったり、日傘をさして紫外線を避けるようにしてください。

過酸化ベンゾイル(ベピオゲル®)

皮膚表面の角質を剥がすことで、毛穴のつまりを取るとともに、アクネ菌を殺菌する効果があるので、ニキビの初期から悪化した状態まで全般的に使用される薬です。使用初期に赤みや皮膚のヒリヒリ感などの刺激を感じることがありますが、継続して使用していると刺激に肌が慣れてくることが多いです。皮膚の刺激を抑えるために、保湿剤が一緒に処方されますので、洗顔後に先にしっかりと保湿をしてから使用してください。最初はニキビができている部分のみに使用し、特に問題がなければ少しずつ塗る範囲を広げていくようにします。使い始めに赤みが強く出たり、痒みが生じる場合は、数時間後に拭き取っても構いません。徐々に塗布時間や範囲を延ばしていくと良いでしょう。ただし、かぶれがひどくなったり、ジュクジュクした感じになるような時は、薬が合っていない場合もありますので、一旦使用を中止して医師にご相談ください。塗った状態で紫外線を浴びるとかぶれることがあるため、使用は夜のみとし、日中は塗らないようにしてください。さらに使用中は、外出時は日焼け止めを塗ったり、日傘をさして紫外線を避けるようにしてください。漂白作用があるので、髪の毛や眉毛につかないように注意し、服や寝具も白色系のものを使用するとよいでしょう。

抗菌薬(アクアチムクリーム®、ダラシンTゲル®、ゼビアックス®など)

炎症が強い赤ニキビ、黄ニキビの部分には、抗菌薬が使用されます。炎症が治まって色素沈着になったら抗菌薬の使用は中止し、ディフェリンゲルやベピオゲルなどで毛穴のつまりを防ぎながら、新しいニキビを予防していきます。

その他

複数の塗り薬を併用する必要がある場合には、アダパレンと過酸化ベンゾイルの配合剤(エピデュオゲル®︎)や過酸化ベンゾイルと抗菌薬の配合剤(デュアック配合ゲル®︎)が使用されることもあります。また、抗菌剤の飲み薬(ドキシサイクリン(ビブラマイシン®︎)、ロキシスロマイシン(ルリッド®︎)、ミノサイクリン(ミノマイシン®︎)など)や、漢方薬(十味敗毒湯、清上防風湯、桂枝茯苓丸加薏苡仁など)、ビタミンB配合剤(ビフロキシン®︎)などが使用されることもあります。特に、化膿が強い場合や、生理前に症状が悪化する場合には漢方薬がよく効くことが多いので、症状の様子について医師に伝えるとよいでしょう。