お薬について

抗真菌薬について

真菌(カビの一種)の付着・増殖により、皮膚に炎症やかゆみなどが起きることを真菌症といい、症状が出現する部位によって、水虫(足白癬)、ぜにたむし(体部白癬)、いんきんたむし(股部白癬)と呼ばれます。足白癬は季節により変動しますが、日本での疫学調査の結果では夏場には5人に1人程度がかかっていると言われています(日本臨床皮膚科医会雑誌, 2009, 26, 27-36)。このようによく見られる病気であり、「かゆみがある」、「皮が剥ける」などのイメージが定着しているため、自己判断で市販薬を使用し、なかなか治らなかったり、かえって薬のかぶれによって悪化させてしまうことが多くあります。接触皮膚炎、汗疱、掌蹠膿疱症、膿痂疹性湿疹など水虫と紛らわしい皮膚疾患も多くあり、見た目だけではなかなか見分けがつきにくいことがあります。皮膚科を受診をして剥けている皮の一部を採って、検査を行うことできちんと診断をしてもらってから塗り薬を使うことが治すための最も近道です。爪に真菌の感染が起きると爪白癬となり、多くの場合は足の水虫を治療せずに放置していたり、治療を途中でやめてしまうことで足白癬に引き続いて発症します。主な症状としては、爪のにごり(白色、黄色など)、爪が分厚くなる、変形などがみられ、爪がボロボロともろくなっていきます。真菌症では菌が皮膚の角質の中に入り込んでいることが多いため、一見皮剥けが治ったように見えても、時間とともに角質ごと菌が表面に上がってきて増え出し、すぐに再発します。菌が完全にいなくなるまで、医師から指示された期間はきちんと薬を塗り続けることが大事です。爪の根元や足の裏の皮膚が分厚くなっている場合は、塗り薬が奥まで届きにくいため飲み薬で治療します。しかし、飲み薬は、薬の値段が高く、他の薬との飲み合わせに注意が必要な場合が多いので、どちらの方法で治療するか医師とよく相談してから決めてください。

治療期間の目安

足の水虫の場合

症状の程度にもよりますが、3ヶ月〜半年程度かかります。菌は皮剥けがある部分以外にも広がっていることが多いため、塗り薬は両足の裏全体に広く塗ることが重要です。チューブから人差し指の第一関節から指先まで出した量(1FTU)が、片足の裏全体に塗る量の目安であり、両足に使用する場合には10gのチューブ3本で約1ヶ月分となります。

爪の水虫の場合

真菌感染によって変形・変色してしまった部分は、薬を塗っても元の状態には戻らないため、爪の根元から徐々に透明できれいな爪が伸びてきて、完全に生えかわるまで塗り薬を続ける必要があります。症状のある爪が1つだけでも、菌は他の爪にも広がっていることがあります。医師の指示がある場合は全てび爪に塗ってください。塗り薬で治療する場合は最低でも半年、長い場合には1年以上の期間を要し、その間は根気強く続けることが大事です。飲み薬で治療する場合は比較的治療期間は短く、3ヶ月間内服を続ければ完治することが多いです。しかし、肝機能障害の副作用が生じる場合が稀にありますので、内服開始後に血液検査が必要となります。

抗真菌薬について

薬の成分によって効きやすい菌の種類が異なり、また、症状がある部位によって使用できる薬が変わってきます。抗真菌薬には刺激があり、皮膚の状態によってはよくかぶれることがあります。特に湿疹や亀裂、ジュクジュクした状態だとかぶれやすいので、治療を開始してかえって患部の状態が悪化したと感じた場合は、早めに受診するようにしてください。かぶれが生じた場合には、ステロイドなどで炎症を鎮めてから別の成分の抗真菌薬で治療を再開します。

クリーム

延びがよく塗りやすいため、足や体の症状によく使われます。

軟膏

クリームに比べるとべたつきがありますが、皮膚への刺激は一番少ないため、患部が荒れている場合にも使いやすい薬です。

外用液

クレナフィン®︎爪外用液とルコナック®︎爪外用液は、爪白癬専用の薬です。皮膚についたままにしておくとかぶれやすいので、皮膚についた分は必ず拭き取ってください。それ以外の液剤やローションは足や体、頭部の症状に使われますが、アルコールが成分として含まれていることが多いため、皮膚に傷がある場合はしみたり、刺激を感じやすいので注意しましょう。