お薬について
塗り薬の使い方について
塗り薬は、症状や部位に応じた適切な強さや使用回数が選択され、処方されています。使用によっても効果に影響がありますので、必ず医師や薬剤師の指示に従って使用してください。
使用量の目安
塗り薬の使用量の目安として、「FTU(Finger Tip Unit)」という単位が用いられています。チューブに入った薬の場合、人差し指の第一関節から指先まで計りとった量を「1FTU」とし、大人の手のひら2枚分の広さに塗る目安の量となります。ローションタイプの薬では、一円玉程度の大きさを手のひらに取った量が1FTUとなります。ただし、薬によっては適切な使用量が異なる場合や(例:プロトピック軟膏では、1FTUで大人の手のひら1枚分が目安)、一回あたり・一日あたりの使用量が決められている場合(例:プロトピック軟膏では1回5 gまで、活性型ビタミンD3外用製剤では1週間で90 gまで)もあります。
塗り薬を使用する時間
使用するタイミングが指示されている場合(例:朝、寝る前、洗顔後など)には、指示に従ってください。1日の使用回数が指示されている場合(例:1日2回、1日3回など)には、短い間隔で複数回使用するよりも、ある程度の間隔を空けた方が効果的です。1日2回の場合は、朝と夜、1日3回の場合は、朝・昼・夜に使用すると薬の効果が十分に得られます。特に入浴後は、皮膚が清潔になっており、薬の使用に適したタイミングですので、1日のうちの1回は入浴後に使用することをお勧めします。ただし、使うタイミングにこだわりすぎるあまり、薬を使いにくく感じるようなことがあっては本末転倒ですので、ライフスタイルに合わせて柔軟に調節されても構いません。
塗り薬を使用する時間
保湿剤とステロイドの場合
「先に保湿剤、その後にステロイド」の順番で塗りましょう。保湿剤は、顔・首・体全体に広めに塗る方が効果的ですが、ステロイドは、赤みやかゆみなどの症状がある部分にのみ使用します。先にステロイドを塗ってしまうと、あとから保湿剤を塗るときに一緒に塗り広げてしまい、症状がある部位への効果が落ちるばかりか、本来塗る必要のない部分に副作用が生じてしまう可能性があります。また、保湿剤の上からステロイドを使用しても、直接塗った場合と効果はさほど変わらないというデータもあります(西日本皮膚科2011年73巻3号 p.248-52、日本皮膚科学会誌2013年123巻14号 p.3117-22)。
ガーゼに延ばす薬の場合
薬によっては、直接肌に塗るのではなく、ガーゼに2〜3mm程度の厚さに延ばして、それを患部に貼るように指示されることがあります(例:亜鉛華軟膏、ソルベース、アズノール軟膏など)。ガーゼに延ばす薬を、ステロイドや抗菌薬など他の薬と一緒に使うよう指示された場合には、ステロイドや抗菌薬などの薬を先に肌に塗ってから、その上から薬を延ばしたガーゼを貼るようにしてください。