お薬について

薬についてよくある質問

薬はどのように保管するといいですか?冷蔵庫に入れた方がいいですか?

薬の保管は、特別な指示がない場合は室温保管で問題ありません。高温(30度以上)や多湿、直射日光などを避けて保管してください。車の中は、夏場はもちろんのこと冬場でも意外に高温になることがあり、直射日光もあたりやすいので、車内への放置は避ける様にしてください。冷蔵や冷凍などの指示がある薬については、それぞれ指示通りに保管するようにしてください。また、小さなお子様の手の届かないところに保管するようにしてください。

以前もらった薬が残っていますが、使っても大丈夫ですか?使用期限はどれくらいですか?

医療機関で処方される薬は、その時の症状に応じて最適なものを専門家である医師が選択しています。似たような症状であっても同じ疾患とは限らないため、独断での使用は避けるようにしましょう。また、薬の強さや量も個人の体格や年齢、症状のある部位などを考慮して処方されますので、ご家族や友人が持っている薬を勧められても使用しないようにしましょう。ただし、明らかに以前と同じ症状の再発であると考えられる場合(例:スギ花粉症の方が、2月下旬頃から鼻水、くしゃみなどの症状がひどくなってきた場合など)には、お手持ちの薬を使用しても問題はありません。薬の使用期限については、保管状況などにも左右されるため一概には言えませんが、適切に保管されていた場合の目安は以下の通りです。

錠剤、カプセルなど

1年程度。変色など状態に変化がないか確認してください。

シロップ

処方日数+1週間程度。水分が多く、非常に雑菌が繁殖しやすいため、長期保存には向きません。冷蔵庫に保管し、薬が入っている容器やキャップなどには直接口をつけないようにしましょう。

粉薬

薬局で混ぜたり小分け包装された状態の薬(写真左)は、3ヶ月〜6ヶ月程度。湿気を吸いやすいので、固まったり、変色していないか確認してください。アルミ包装された薬(写真右)は湿気に強いので、1年程度は問題ありません。ただし、小さなお子様に処方された薬は、処方された時から体重が大きく変わっていると薬の必要量が変わっていることも多いので、その点にもご注意ください。

粉薬の使用期限

塗り薬

チューブの薬や元々の包装のままの液体の薬は、開封後は6ヶ月程度。汚れた手で扱ったり、患部にチューブや容器の先を直接触れさせて使用した場合などは、雑菌の汚染などがあるためもっと短くなります。未開封のものであれば、チューブのお尻の部分や容器の胴体部分に小さな字で使用期限が記載されているものが多いので、その期限までは使用できます。元々の包装から小分けされ、プラスチック製の軟膏容器や液剤容器に入っている薬は、元々の包装に入った状態よりも雑菌汚染の心配が高いため、3ヶ月以内の使用が推奨されます。

塗り薬の使用期限

目薬

開封後は1ヶ月程度。使用時にまつ毛や皮膚に触れさせてしまうと雑菌が繁殖しやすくなるため、もっと短くなります。未開封であれば、容器に記載されている期限までは使用できます。

点鼻薬

開封後は2ヶ月程度。未開封であれば、容器に記載されている期限までは使用できます。

妊娠中、授乳中の薬の使用について

まず一番大事なのは、診察時や薬をもらう時に必ず医師や薬剤師に妊娠・授乳について伝えてください。そうすれば、医師は妊娠や授乳についての影響を考慮して薬を選びますし、薬剤師は問題がないかどうかをきちんとチェックいたします。妊娠中の薬の使用については、赤ちゃんの体や器官が作られる時期かどうか(奇形への影響、妊娠初期〜概ね5ヶ月程度まで)、赤ちゃんの発育に影響があるか(低体重児や早産の可能性、妊娠5ヶ月以降)を分けて考える必要があります。また、薬によって服用後数ヶ月程度は奇形への影響が残るものもあり、男性が内服していた場合でも胎児に影響が出る薬もありますので、妊娠を希望されている方や妊活中の方は男女問わず申し出ていただけますと適切にチェックができます。薬の使用の有無に関わらず、奇形などの先天異常の自然発生率は2〜3%、自然流産率は15%程度と言われており、ここでいう「妊娠中でも服用できる」、「妊娠に影響を与えない」というのは、自然発生率から大きな変化がないという意味であることをご理解ください。妊娠中は薬が服用できないと思われている方も多いですが、薬によっては胎児への影響を気にせず服用できる場合も多くあります。無理に症状を我慢していると、かえって身体的にも精神的にもつらくなり、胎児に悪影響が出ることもあります。妊娠中に服用できない薬の例としては、妊娠初期〜中期は男性ホルモンおよび女性ホルモンなどのホルモン剤、ビタミンA類縁体、抗がん剤などがあります。妊娠中期〜後期は、エルゴタミン系の片頭痛薬や、降圧剤、糖尿病薬、ほとんどの解熱鎮痛薬などに注意が必要です。ステロイドの塗り薬は、強力なものを広い範囲に長期間使用すると、飲み薬と同等の影響がでる可能性があると言われていますが、皮膚科専門医の指導のもとで適切な量を使用する限りは、ほとんど影響はないと言われています(最も強いステロイドの塗り薬3本=15 gを一度に使用すると、内服の錠剤5 mgを1錠服用したのと同程度の換算量と言われています)。ただし、塗り薬でもステロイド以外の薬では注意が必要なものもありますので、診察時に必ず申し出ていただくことが大切です。授乳については、妊娠中に比べてかなり多くの薬が使用可能になります。母体への吸収や乳汁中への移行を考慮して、服用してもほとんど影響がない薬も多く、特に乳幼児にも使用される薬の場合はほぼ問題ないと言われています。

「授乳中に安全に使用できると考えられる薬」または「授乳中の使用には適さないと考えられる薬」については国立成育医療研究センターより一覧表が公開されています。医師や薬剤師にご相談いただくのが最も良いですが、聞き忘れてしまった場合や服用前に心配になった場合はご参照ください。

塗り薬を塗った後に、ガーゼを当てたりラップなどで覆ったりしてもいいですか?

塗り薬を塗った後にガーゼやラップで覆うと、患部の状態が変化したり、薬の吸収の度合いが変化します。ガーゼの使用が必要な場合は、必ず医師からの指示がありますが、基本的には悪影響は及ぼしません。ラップは、傷や湿疹がある場合には密閉されることにより感染を引き起こす場合があるため、使用は避けるようにしてください。絆創膏も傷の状態によっては、かえって悪化させてしまう場合があります。自己判断せずに医師に相談してください。

子供が塗り薬をなめてしまいました。大丈夫でしょうか?

小さいお子様、特に乳幼児は、塗り薬を塗った部分を触って、その手をなめたり、口に入れてしまうことがよくあります。医師は乳幼児に塗り薬を処方する場合は、口に入っても問題のないものを選択しています。また、どのような薬であっても、塗り薬のついた手をなめる程度であれば、ごく微量のため全く影響ははありません。例えば、お子さんによく処方されるプロペトは元々、目の保護のために使われているワセリンであるため、目に入っても安全性に問題はありません。リップクリームの原料としても用いられますので、唇や口まわりにも長期間使い続けることができます。しかし、薬の保管は、小さなお子様の手の届かないところにするようにお願いします。

塗り薬が処方されましたが、普段使用している化粧品や日焼け止め、シャンプーなどは併用してもいいでしょうか?

かぶれやかゆみなどの症状の原因が、化粧品などによるものと考えられる場合は、すぐに使用を中止してください。それ以外の場合は、肌の状態次第になります。肌が荒れていると普段は問題ないものでも刺激を感じることがあり、その刺激が症状の悪化を招くこともあります。必ず診察時に使用しても問題ないかどうかを医師にお尋ねください。使用に関して医師から問題ないと確認ができましたら、1. 化粧水、2. 保湿剤、3. その他の塗り薬、4. 日焼け止めの順番で使用してください。

ジェネリッック医薬品とはなんですか?

最初に開発された薬のことを「先発品」と呼び、数年間の独占販売期間が認められています。その期間が過ぎたあとに、他のメーカーから発売される同成分の薬のことを「ジェネリック医薬品(後発品)」と呼びます。ジェネリック医薬品の製造販売については、厚生労働省の認可を受けて行われ、先発品と効き目や安全性が同等であると確認されています。塗り薬の場合は使い心地に多少の差はありますが、一般的にジェネリック医薬品の薬価(国が決めた薬の値段)は先発品の4〜5割程度に設定されるため、薬代の自己負担額を安くすることができ、同時に自己負担額以外の税金によって賄われる医療費を抑えることができます。また、価格以外のメリットとして、先発品と比べて飲みやすさや味などを改良したジェネリック医薬品も多くあります。最近では自治体の補助により子供の医療費は一定の年齢まで無料になることも多いですが、これは自己負担額がないだけで全て税金によって支払われていますので、子供の薬でもジェネリックを使用することは、医療費の抑制という点では大きな意味があります。

安いジェネリック医薬品より、高い先発品の方が品質がいいんでしょうか?

ジェネリック医薬品の薬価が先発品よりも安く設定される最大の理由は、先発品の価格には研究開発にかかった莫大な費用が上乗せされるためです。ジェネリック医薬品でも製造販売については厚生労働省の認可が必要であり、品質や安全性については審査されていますので、「品質が悪いから値段が安い」というわけではありません。ジェネリック医薬品を使用するメリットは価格ばかりが挙げられることが多いですが、実はそれ以外にもいくつかの利点があります。ジェネリック医薬品は先発品が世の中でしばらく使用された後に発売されるため、先発品の課題とされる部分、例えば錠剤が大きくて飲みにくい、苦味が強い、持ち運びしづらいなどを改善して発売されたものがあります。特に、小児用の粉薬では、先発品は苦味が強くて飲みにくかったものが、後発品だと飲みやすく改良されているものもあります。価格以外の点にも注目して、使いやすい薬を選んでみてください。

ジェネリック医薬品の利点の例

飲みやすさを改善

先発品はカプセルしかないが、ジェネリックは錠剤があり飲みやすさを改善(オノン、サインバルタなど)

味を改善

先発品は苦味が強い粉薬だが、味を改善(クラリス、ジスロマックなど)

1回分の個包装

先発品は服用時に計り取る必要があるシロップだが、ジェネリックは1回分の個包装(ザジテンシロップなど)

室温で保存

先発品は冷蔵保存の目薬だが、ジェネリックは室温で保存可(キサラタン点眼液など)

好みに応じて使い分けることができる

先発品のヒルドイドローションは乳液タイプ、ジェネリックのヘパリン類似物質ローション「日医工」はさらりとした液体であり、使用感が異なるので好みに応じて使い分けることができる。